しかしこの国民投票が大変な危機に晒されています。それは一括で審議するのか、個別で審議するのかの問題です。今回の憲法改正では、9条問題の他にあらたに環境権やプライバシー権を盛り込む動きが見られますが、改正賛否を問う場合複数の異なる草案を一くくりにして賛成、反対を尋ねることは、国民の民意を正確に反映しません。しかし一括か個別かという投票方法の大切さについてジャーナリストや議員さえもよく分かっていません。そして国民もよく分からないうちに、まず96条(憲法改正の手続き)を改正し、国会の中で憲法改正を可能にしようとする動きさえあります。注意が必要です。
憲法 第九十六条(憲法改正の手続き)
1.この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。2.憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを交付する。