惣万さんは12年前に、富山で始めての民間デイケア「このゆびとーまれ」を立ち上げた人です。老人病院に入れられたおばあちゃんの「自分の家に帰りたい」という一言に揺り動かされた、惣万さんら3人の看護士によってできた「このゆびとーまれ」は、同じ場所であかちゃんからお年寄りまで、障害のある人もない人も一緒にケアを行っている小規模多機能と呼ばれるケアハウスです。その取り組みは「富山方式]と呼ばれ、今全国に広がっています。
惣万さんは「同じ人だけでコロニーを作ってはいけない、人間は豊かな人間関係で輝く」といいます。「このゆびとーまれ」では、認知症の老人が好んで自ら赤ちゃんを背負って世話をしています。障害があり利用者だった人が、有償ボランティアとして働いています。人には誰かの役に立っていることで自分の存在意義を感じ、豊かに生きられるのです。NPOがまちのニーズに答えていくことによって、後から行政がついて来るとも話されました。ご自身の活動の中から実感しているのでしょう。
彼女は好きな言葉を二つ上げました。赤十字の理念である「明日の100人よりは今日の一人を助ける」とアメリカ大統領だったケネディの言った「この国が君たちのために何ができるかではなく、君たちがこの国のために何ができるかを考えてほしい」です。
「国民一人一人が、自分のできることを行動に起こした場合、日本が変わる。」ともおっしゃいました。本当にそのとおりであると思います。一人一人にできることはさまざまで、決して大きな力ではないけれど、本当に一人一人がそれを実行に移したとき、何かを大きく変える力になるのだと私も実感しています。
日ごろから感じている「国を動かす力は政治家にあるのではなく、思ったことできることを実行に移す一人ひとりの力」であることを再確認し、惣万さんのお話に感動した一日でした。